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相続人に障害者がいる場合の遺産分割と相続税申告②

こんにちは。鹿児島市の相続税専門オフィス鹿児島のブログです。

前回は相続人のなかに障害者の方がいらっしゃる場合の遺産分割の諸手続きについて述べましたが、今回は相続税申告については書きたいと思います。

 

障害者控除という税額控除の計算

相続税の障害者控除とは、障害を抱える相続人が遺産を相続した場合に、相続税が軽減される特例措置です。これは障害者が相続した場合に、相続税による日常生活等への負担がふえないよう設けられている制度です。

 

この場合「故人(被相続人)」が障害者であっても控除はありません。あくまで「相続人」が障害者でなければ控除対象とはなりませんので注意が必要です。

 

控除の適用額は以下のようになっています

 

一般障害者の場合

   10万円×(85歳-年齢)

特別障害者の場合

   20万円×(85歳-年齢)

 

 

この相続税の障害者控除を受けるためには相続税法で定められた3つの要件を満たす必要があります。

 

  1. 国内に住んでいる人
  2. 障害者であること
  3. 法定相続人であること

 

一つずつ説明していきます

1.日本国内に住んでいる人

1つ目の要件は「財産を受け取るときに日本国内に住所があること」です。ただし、日本国籍を有しており、故人か相続人のいずれかが相続開始前5年以内に日本国内に住所を有していたことがある場合は、海外に住んでいても適用されます。

2.障害者であること

税法では、相続税の障害者控除になる障害者の要件を定めており、その要件に該当しなければ税法上の控除対象になりません。

障害の大小によって「一般障害者」と「特別障害者」の2種類に定められています。

【一般障害者】

身体障害者手帳の等級が3~6級

精神障害者福祉保健手帳の等級が2級または3級

【特別障害者】

身体障害者手帳の等級が1級または2級

精神障害者福祉保健手帳の等級が1級

3.法定相続人であること

障害者控除を受ける本人が「法定相続人」であることです。法定相続人以外であれば障害者控除を受けられません。

例えば遺言で友人Aに遺産を譲るという内容が書かれていた場合、障害者であっても法定相続人ではないため、友人Aは障害者控除を受けることができません。

他に、相続人ではないものが生命保険の受取人に指定されていた場合なども、同じく障害者控除を受けられません。

 

※実務上の留意点

・先の相続で、障害者控除の適用をすでに受けている場合には、控除額が制限されます。

・当該障害者の方が、財産を一切相続しない場合には、その扶養義務者の方も障害者控除の適用が受けられません。しかし、相続税の障害者控除は、障害者本人だけでは使いきれない分がある場合、他の扶養義務者の相続人の相続税額からも控除することが可能です

 

*扶養義務者とは、実際に扶養をしているか否かは関係なく、戸籍上で配偶者、祖父母・父母・子・孫、兄弟姉妹のこと、または3親等内の親族で家庭裁判所が扶養義務を負わせた者のことを指します。

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