相続税特例一覧
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自宅、預金、保険金…遺産の総額が7000万円あったとしてその7000万円すべてに対して相続税が課せられるわけではありません。
様々な配慮がなされ、たくさんの控除項目があり、場合によっては遺産が1億円あっても相続税額は0円というケースも珍しくありません。
このページでは控除項目を形態ごとに解説したいと思います。
基礎控除
3000万円+法定相続人×600万円
これはとても大きな控除です。遺産総額がこの基礎控除額内ですと相続税申告の必要はありません。
裏を返すとこの基礎控除額を超えますと相続税申告の義務が生じてきます。 鹿児島県の場合、亡くなられた方全体の3%しかこの基礎控除額を超えません。
非課税財産(相続税対象外の遺産)
死亡保険金
被相続人の死亡を原因に支払らわれる保険金については、法定相続人の数×500万円の部分は相続税の対象外とされています。 これは保険金の本来の目的が遺族の生活保障のためですので、その保険金に相続税を課すのは本末転倒な話です。
そういった事情から多額の非課税枠が設けられます。
死亡退職金
上記の死亡保険金と同じ事情から同様の非課税枠が設けられています。
税理士が関与する企業ですと生前対策で、この二つの非課税制度を利用して事前に数千万の非課税財産を作ったりいたします。 法定相続人が3人居れば合計で3000万円の非課税財産を作れます。
墓地、仏壇など
国民感情を考えてこのようなものは相続税の非課税財産となっています。 非課税財産ですので生前に墓地を購入するなどすれば相続税対策となります。
寄付
相続税の申告期限までに国、地方公共団体や公益事業を行う法人などに相続財産を寄付した場合はその財産について相続税の対象外となります。
政策的控除(遺産の評価額を減額します)
小規模宅地等の特例
故人の自宅、故人の経営していたアパート、故人の係る同族会社に貸している土地などは要件を満たせば最大80%減額して土地評価をします。
路線価評価で5000万円の土地を8割引きの1000万円で評価してよいというありがたい制度です。
これはバブルの時代、土地の価格が沸騰し、自宅を相続しただけなのに莫大な相続税が課せられ相続税を支払うために自宅を売却しなくては ならない本末転倒な事例が多く、故人の生活基盤だった土地についてはなるべく相続税を課さないようにとこの制度が出来ました。
中小企業の株式の相続税の納税猶予
中小企業の株式も相続税の対象になります。業績が良い会社ですと額面で1000万円でもその価値が1億円などになってしまいます。
実際売却できない中小企業の株式に莫大な相続税が課せられるのは現実的でなく、その相続税支払いのために会社の経営が圧迫されるのは理不尽な話ですので、子供が引き続き会社を経営するなどの条件を満たせば、株式の評価を80%減額してよいとする制度です。
農地の相続税の納税猶予
上記の中小企業の株の特例同様、農地も後継者が農業を承継する場合は、一定額以上は相続税の対象にしません。 なぜ農家だけこんな特例があるかというと、某地域など自民党の支持者に農家が多いため、時の自民党が無理やり作った制度と言われています。 似たような話で特定郵便局の敷地に対する小規模宅地の特例もあります。
税額控除(計算された相続税額そのものを減額いたします)
配偶者の税額軽減
被相続人の配偶者については(一般的に)1億6000万円までの遺産に対しては相続税は課されません。
これは被相続人の遺産は配偶者の内助の功があっての形成であると同時に、残された配偶者の生活保障の観点から 配偶者には手厚い控除があります。
未成年者の税額控除
相続人が20歳未満の場合は、20歳に達するまでの年数×10万円の相続税を免除します。
これは未成年者が成人するまでの学費生活費を賄うための制度ですが、ちょっと少ないですね…
障害者の税額控除
相続人が障害者である場合は、85歳に達するまでの年数×10万円(特別障害者の場合は20万円)の 相続税を免除します。これは障害者の生活保障を考慮しての制度です。
数百万円単位の相続税が免除されることも多く、控除して相続税が0円になっても引き切れなかった分の 相続税額は他の相続人(親族)から控除できるというなかなかの制度です。
相次相続控除
最初に父親の相続で相続税を支払い、その次10年内に母親の相続で相続税を支払うような場合には立て続けに相続税負担が発生しますのでその一部を免除する制度です。
贈与税額控除
相続開始3年内の故人からの贈与は相続財産として再び課税対象になります。
相続税が課せられますので、過去に支払った贈与税との二重課税になるので、増税額分は相続税額から控除いたします。
相続税額の2割加算
これは控除ではなく、相続税の規定で唯一と言っていいペナルティ的な制度です。
相続人でない方に遺言などにより遺産を渡す場合には本来の相続税の2割増しの税額を支払われなければなりません。
納付の特例
延納
相続税の支払いは現金一括払いが原則です。しかし相続財産が不動産ばかりの場合など現金一括払いはとても厳しいですよね。
現金がない、すぐ換金できる財産がないときは延納を選択し分割払いができます。
ただし高い延滞利息がかかるので、現実的には相続した不動産を担保に銀行で低金利でお金を借り、税務署に一括納付する方がはるかにお得です。
物納
上記同様現金納付が困難な場合、相続した不動産で支払う方法です。ただし申請してもまず承認してもらえません。
これは国としては不動産で納税してもらっても処分に困る(固定資産税も払わなければならないし、売却処理もしなくてはならない)ので承認されにくいのが現実です。